これからの開発

創薬の開発の進め方

創薬は、医薬品となり得る候補を見つける基礎研究ステージ、引き続き実際に患者の治療に役立つように工夫して患者で有益性を証明する開発ステージからなり、最終的に規制当局から承認されて、医薬品として発売することができます。

基礎研究ステージ→開発ステージ→承認→医薬品として製造・販売

基礎研究のステージ

基礎研究では、薬理的な研究で種々な細胞レベルの研究、作用機序に関する研究及び動物病態モデルの研究により、患者の治療に期待できる効果を見つけます。これらの研究で医薬品となり得る可能性が高いことが明確になった段階で、開発ステージに移ります。

開発のステージ

開発は、先ず治療目的に適した投与方法にするために製剤開発を進め、続いて動物での毒性や吸収・分布・代謝・排泄を調べる前臨床試験を行います。この段階で人に投与しても安全性に問題ないと推測できた場合に、患者での有効性や安全性を調べる臨床試験に入ることが出来ます。臨床試験は3つのフェーズ、臨床第I相試験、臨床第II相試験、臨床第III相試験からなり、患者においる有効性と安全性が実証して、規制当局に申請します。

<用語解説>
製剤開発:新規物質の特性と治療目標に応じて有効性が発揮されやすく、かつ安全性が高くなるように投与方法や製剤を工夫します。


前臨床試験:前臨床試験には主に動物を用いた毒性試験と吸収・分布・代謝・排泄試験からなり、毒性の種類や強さ、活性体の生体内運命などを明確にします。


臨床第I相試験:人での投与量と安全性を評価するのが主目的です。


臨床第II相試験:患者で投与量と有効性や安全性を評価し、臨床第III相試験の投与量を決定します。


臨床第III相試験:主に既存薬より優れていることを実証します。


開発計画と状況

DHMEQの開発は抗ガン剤、抗炎症剤及び免疫抑制としての開発プロジェクトがあります。特に、本剤の開発のために立ち上げたベンチャー企業(株式会社シグナル・クリエーション)は、ごく最近、ガンが炎症を伴って発症、増殖や転移することが認識され、世界的にNF-κB阻害薬が抗ガン剤となり得ると注目されていることから、抗ガン剤の開発プロジェクトを進めております。

抗癌剤開発プロジェクト

DHMEQはやや水に溶け難い低分子化合物で、このまま使う場合この特性はターゲティング療法に適しおります。
すなわち、癌組織部位に直接注入することにより、活性体を高濃度で長時間持続させことが可能となり、同時に安全性を高めることができます。現在、欧米で本格的な毒性試験とガン患者における臨床第I相試験を実施するための準備をしております。

抗炎症剤開発プロジェクトと免疫調整剤開発プロジェクト

DHMEQを患者に適切な投与形態にするために、製剤研究を進めています。

<用語解説>
ターゲティング療法:
病気は全身的疾患と局部的疾患に分けられます。全身的疾患の治療は、経口剤や静脈注射剤のように血液中に薬を吸収させて効果を発揮させるしかありませんが、局部的な疾患の治療は、喘息の吸入ステロイドや皮膚炎の外用剤のように、炎症部位に直接薬を付着させ効果を発揮させることができます。この治療方法をターゲティング療法といい、全身的副作用を軽減できるという利点があります。


癌治療におけるターゲティング療法:
血液ガンなどの一部のガンを除いて、多くのガンは臓器や組織の表面に発生する局部的の病気ですので、抗ガン剤のターゲティング療法は合理的な方法です。